① 歴史・背景
厚岸蒸溜所は北海道厚岸町に位置するジャパニーズウイスキーの蒸溜所です。
2016年11月に操業を開始し、厚岸の冷涼な気候と海に近い環境を生かしたウイスキー造りを進めてきました。
厚岸ウイスキーの大きな特徴は、北海道の自然環境を意識した酒質です。
特にモルト原酒ではピートを用いたスモーキーな風味と、柑橘や甘み、潮気を組み合わせたスタイルが知られています。
「冬至」は、そうした厚岸の原酒に加え、グレーン原酒まで厚岸蒸溜所で製造した初のシングルブレンデッドです。
② ブランド・思想・位置づけ
「冬至」は、厚岸ウイスキーの「二十四節気シリーズ」に属する一本です。
二十四節気シリーズでは、「寒露」を第1弾として、季節を表す二十四節気の名称を商品名に採用しています。
冬至は一年の中で昼が最も短くなる日で、ここから再び日が長くなることから、「一陽来復」ともいわれます。
商品としての最大の特徴は、モルト原酒とグレーン原酒の両方を厚岸蒸溜所内で造っている点です。
グレーン原酒には北海道産の大麦、小麦、米、蕎麦などが使われています。
さらにグレーンには、一般的な連続式蒸溜器ではなくポットスチルを使う「シングルポットスチルグレーン」を採用しています。
これにより、ブレンデッドでありながら原酒それぞれの風味を感じやすい構成です。
③ 酒質・味わい・特徴
香りは、柿のジュレを思わせる柔らかな果実の甘さから始まり、そこに砂糖をかけた夏みかんや橙色の柑橘、はちみつ、メロンのような明るい香りが重なります。
味わいでは、ピール感の強いマーマレードのような柑橘の苦みと甘みがあり、続いてヌガーのようなコクが広がります。
甘いだけではなく、柑橘の皮を思わせるほろ苦さが入ることで、味わいに輪郭があります。
余韻では、おろした生姜のようなピリッとしたスパイス感が現れます。
さらに塩飴のような甘じょっぱさと、ごく穏やかなピートが残ります。
厚岸らしい潮気を感じさせながらも、強烈なスモーキーさを主役にしたウイスキーではありません。
果実、柑橘、甘み、塩味、そして控えめなピートが重なった、複層的な味わいが特徴です。
④ 評価・支持される理由
「冬至」の魅力は、厚岸らしいモルトの個性だけではありません。
グレーン原酒まで厚岸蒸溜所で造ることで、モルトとグレーンの双方に厚岸の考える味わいを反映しています。
特に北海道産原料を使用したシングルポットスチルグレーンは、このボトルを特徴づける要素です。
香りは柿やメロン、柑橘、はちみつと比較的親しみやすい一方、味わいにはマーマレードの苦みや生姜、塩飴、ピートがあります。
そのため、単純に甘く軽いブレンデッドウイスキーではありません。
ストレートでは、果実や柑橘、塩気、ピートの変化を追いやすい一本です。
ロックにすると甘みやコクを中心に、ゆっくり楽しむ飲み方にも向いています。
希望小売価格は700mlで27,000円(税別)、税込では29,700円です。
価格帯としては高級ウイスキーに入りますが、厚岸蒸溜所初のシングルブレンデッドという明確な位置づけを持つ限定ボトルです。
⑤ 総括
厚岸「冬至」は、「北海道産原料のグレーンと厚岸モルトを重ね、果実の甘みと柑橘、塩気、穏やかなピートを一つにまとめたシングルブレンデッド」と表現できるウイスキーです。

レビュー
0