① 歴史・背景
久住蒸溜所は大分県竹田市久住町に位置するクラフトウイスキー蒸溜所です。
2021年に稼働を開始しました。
蒸溜所があるのは、くじゅう連山の山裾に広がる久住高原です。
豊かな自然と清らかな伏流水を背景に、この土地ならではのウイスキー造りを目指しています。
製造設備にはスコットランドのフォーサイス社製ポットスチルを採用。
初溜釜は2,500L、再溜釜は1,800Lで、どちらもストレート型です。
再溜釜が比較的小さいことから、久住蒸溜所では重めの酒質を狙える設備構成となっています。
そして2025年4月末、蒸溜所にとって初めてとなるシングルモルト、「久住 THE FIRST」が発売されました。
まさに久住の本格的な第一歩となる商品です。
② ブランド・思想・位置づけ
「THE FIRST」は、その名前の通り久住蒸溜所初のシングルモルトです。
公式には、久住蒸溜所の原酒が持つ個性を素直に表現した商品とされています。
バーボン樽を軸に、リフィル樽とシェリー樽を組み合わせています。
久住蒸溜所が大切にしているのは、先人のウイスキー造りを学びながらも、設備や土地が違えば最適な造り方も変わるという考え方です。
そのため、日々の試行錯誤を重ねながら久住の環境に合ったウイスキーを探求しています。
久住高原では良質な地下水や湧水を確保できることも大きな特徴です。
豊富な水資源は、蒸溜所のウイスキー造りを支える重要な要素となっています。
③ 酒質・味わい・特徴
久住 THE FIRSTは58%という高いアルコール度数で瓶詰めされたカスクストレングスです。
香りには完熟する前の緑色の果実や洋梨、紅茶、花、柑橘が感じられます。
さらに日向の草むらや新品の木製家具を思わせる香りも挙げられています。
口にすると、まず厚みのあるモルトの甘みが広がります。
そこにジューシーな果汁感が加わり、熟したキウイやレモンピール、メレンゲパイを思わせる風味へ続きます。
フィニッシュでは甘みと酸味がバランスよく続き、わずかにオイリーな舌触りも感じられる構成です。
強いピートや煙を前面に出すタイプではなく、果実、モルトの甘み、酸味、樽の風味を軸にした酒質といえます。
58%という度数を考えると力強さはありますが、香味の中心は重厚なスモーキーさではなく、果実を思わせるフレッシュさにあります。
④ 評価・支持される理由
THE FIRSTの大きな魅力は、久住蒸溜所が自ら造った原酒の個性を初めてシングルモルトとしてまとまった形で味わえることです。
特に洋梨やキウイ、柑橘などの果実感とモルトの甘みが明確で、スモーキーなウイスキーとは異なる方向性を楽しめます。
58%のカスクストレングスという点からも、軽く飲むタイプというより、原酒の力強さや香りの変化をじっくり楽しみたい人に向いています。
まずはストレートで香りと味を確認し、必要に応じて少量の加水をして変化を見る飲み方も適しています。
国内販売では700mlが14,800円前後から、16,000円台で販売されている例があります。
価格帯としては入門向けの国産ウイスキーより明らかに上ですが、蒸溜所初のシングルモルトという位置づけを考えると、久住蒸溜所の今後を追いたい人には注目度の高い一本です。
⑤ 総括
久住 ザ・ファーストは、「久住高原の環境から生まれた、果実味とモルトの甘みが力強く広がるカスクストレングスのシングルモルト」と表現できるジャパニーズウイスキーです。

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