① 歴史・背景
御岳を造る御岳蒸留所は、鹿児島県日置市の西酒造が2019年に開設した蒸留所です。
西酒造は1845年創業で、長く薩摩焼酎を造ってきた蔵元です。
その発酵・蒸留技術を生かしながら、日本ウイスキー造りへと挑戦しています。
御岳蒸留所は錦江湾と桜島を望む標高約400mの高台に位置しています。
周辺には豊かな森が広がり、毎分1,000リットル以上湧き出る天然軟水を仕込み水に使用しています。
また、蒸留器には特徴的な上向きのラインアームを採用しています。
重い香味成分を落としながら、フルーティーで深みのある香味成分を取り出す設計となっています。
② ブランド・思想・位置づけ
御岳という名前は、蒸留所から望む桜島の別称である「御岳」に由来しています。
ブランドの背景には、薩摩焼酎で培った技術を土台に日本産ウイスキーを世界へ届けるという西酒造の取り組みがあります。
原料には選び抜いた二条大麦を使い、酵母も西酒造が保有するものから選抜して使用しています。
さらに御岳のシングルモルトでは、シェリー樽へのこだわりも特徴です。
2025年の商品では、スペインで厳選したソレラシェリー樽のファーストフィルを使用しています。
スコッチの伝統をそのまま再現するのではなく、鹿児島の水や環境、蔵元の蒸留技術を組み合わせている点に個性があります。
③ 酒質・味わい・特徴
御岳のシングルモルトは、スモーキーさを前面に出すタイプではなく、果実を思わせる香りと甘みが特徴です。
現行の「御岳 2025」では、ドライアプリコットやキャラメリゼしたリンゴ、プルーンのような甘くフルーティーな香りが示されています。
口当たりは非常に滑らかで、ドライフルーツと樽由来のバニラが調和したコクのある味わいです。
アルコールの刺激を強く感じさせるより、滑らかな質感を重視した酒質で、フィニッシュに向かって穏やかな風味が心地よく広がります。
ピート香を強く楽しむタイプではないため、アイラ系のような力強いスモーキーさとは方向性が大きく異なります。
果実、樽、甘み、滑らかさを軸にした比較的エレガントなシングルモルトです。
④ 評価・支持される理由
御岳が注目されている理由として、新しい日本の蒸留所でありながら、西酒造が長年培ってきた蒸留技術を背景に持っていることが挙げられます。
2025年の御岳は、TWSC 2026で洋酒部門の金賞を受賞しています。審査では甘み、酸味、渋みのバランスや、余韻の長さなどが評価されています。
また、現行品の公式価格は700ml・43%で14,300円で、販売店では同程度の価格帯で確認できる商品もあります。
味わいの方向性から見ると、強いピート香よりもフルーティーなシングルモルトを好む人に向いています。
ストレートでは香りを確認しやすく、ロックでは時間による味わいの変化を楽しみやすいタイプです。
⑤ 総括
御岳 シングルモルトは、「鹿児島の水と技術から生まれた、フルーティーで滑らかなジャパニーズモルト」と表現できるウイスキーです。
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