① 歴史・背景
嘉之助蒸溜所は、鹿児島県日置市の東シナ海に面した吹上浜沿いにあります。
背景にあるのは、140年以上にわたり鹿児島で焼酎造りを続けてきた蔵元です。
長年培った蒸留や樽熟成の経験を生かし、ジャパニーズウイスキーへ挑戦しています。
嘉之助のウイスキー造りを特徴づけるのが、形状の異なる3基のポットスチルです。
複数の酒質を造り分けたうえで、焼酎樽、バーボン樽、シェリー樽などさまざまな樽を使い分けています。
「SHERRY CASKS VATTED」は、2025年11月21日に発売された数量限定品です。
フラッグシップのシングルモルト嘉之助を軸に、シェリー樽がもたらす豊かな果実味をより明確に表現した一本となっています。
② ブランド・思想・位置づけ
SHERRY CASKS VATTEDで中心となるのは、2種類のシェリー樽で熟成した原酒です。
スペイン産のオロロソシェリー樽とクリームシェリー樽の原酒を豊富に使用し、濃厚な果実味を引き出しています。
ただし、シェリー樽だけで味わいを構成しているわけではありません。
嘉之助の個性を支える焼酎樽原酒によって、スパイシーな「和」のニュアンスを残し、アメリカン・ホワイトオーク新樽の原酒もアクセントとして加えています。
濃厚なシェリー樽熟成ウイスキーでありながら、嘉之助が追求してきた「メロー」な酒質を失わないよう設計されている点が特徴です。
③ 酒質・味わい・特徴
色合いは赤みを帯びた琥珀色で、アルコール度数は48%です。
香りでは、まずダークチェリーの熟した果実感がはっきりと現れます。
そこへバニラやラズベリーの甘い香りと、ニッキを思わせるスパイシーさが重なります。
口にすると、柔らかなレーズンとダークチョコレートの濃厚な甘みが広がり、クローブのようなスパイスが味わいを引き締めています。
さらに、果実をたっぷり練り込んだパウンドケーキのような芳醇さも特徴です。
シェリー樽らしいドライフルーツ系の甘さをしっかり感じられる一方で、単純に重厚なだけではありません。
フィニッシュではマンゴスチンを思わせるトロピカルな果実感が現れ、ほのかなオークのドライさを伴いながら長い余韻へと続きます。
強いピート香を楽しむタイプではなく、果実、チョコレート、バニラ、スパイスを中心とした濃密な酒質です。
④ 評価・支持される理由
このボトルの魅力は、シェリー樽の濃厚さと嘉之助らしい柔らかな酒質を同時に味わえるところにあります。
オロロソとクリームという異なるシェリー樽原酒を組み合わせることで、ドライフルーツだけではない複層的な甘みと果実感を表現しています。
さらに焼酎樽由来のスパイス感と、新樽によるオークのニュアンスが加わるため、シェリー樽の甘さだけに偏りません。
公式テイスティングノートでも、ダークチェリーからパウンドケーキ、マンゴスチンへ移っていく香味の変化が明確に示されています。
ストレートなら果実やスパイス、オークの細かな変化を追いやすく、ロックでは濃厚な甘みをゆっくりと楽しみやすい一本です。
700ml・48%で、公式販売価格は10,450円(税込)です。
シェリー系モルトが好きな人はもちろん、海外のシェリー樽熟成スコッチとは違うジャパニーズウイスキーならではの表現を探している人にも向いています。
⑤ 総括
嘉之助 SHERRY CASKS VATTEDは、「濃密なシェリー樽の果実味に、焼酎樽の和のスパイスと南国果実を重ねた、メローなジャパニーズシングルモルト」です。
レビュー
0